ここ岐阜県恵那市笠置町では、家のまわりにお茶畑がある家が結構あります。
でも、あまり摘んでいる様子を見たことがありません。
聞けば以前は自分たちが飲む分は自分たちで作り、余れば製茶工場に出荷していたそうです。
ただ、手間が大変なのでお茶は買った方が良いとのことで、お茶畑はほったらかしのことが多いようです。
僕は静岡市出身なので、お茶のことはよく知っていますが、お茶は農薬なしには育てられないものだと思っていました。
お茶にはその名も「茶毒蛾(チャドクガ)」という蛾が大発生するのです。サザンカツバキもお茶の仲間なので、同様に大発生します。
生まれ育った静岡でも、大人になって過ごした関東でも、チャドクガによる被害で子どもなどは場合によっては死に至るほどの湿疹をおこすことで問題になっていました。
しかし、恵那地域ではチャドクガが大発生することはあまりありません。
僕が原因を予想するに、まわりが山に囲まれていて、ハチや鳥などのチャドクガの天敵が多いこと、辺り一面のお茶畑にしないために生物多様性が保たれていること、街灯が少ないので蛾が集まることがないこと、などが考えられます。
ですからこの地域のお茶は、すごいことなのですが無農薬が結構当たり前で、もっとPRできればいいのになあと思っています。
で、前置きが長くなりましたが、使っていないお茶畑のお茶を刈らせて頂き、ほうじ茶を作ってみました。
我が家では煎茶はあまり飲まないのですが、ほうじ茶は大量に消費します。タダで安全なほうじ茶が手に入るのならやらない手はありません。
米は農薬を使っていても精米して洗ってから食べますが、お茶はそのまま煮出すわけですから、お茶こそ無農薬の方がいいですよね。
ほうじ茶目的なので、あえて春の新芽は摘まずに伸ばしきったこの夏にバリカンで思いきって刈りました。
しかしその後がよく分からないです。ネットを調べても煎茶の作り方、煎茶からほうじ茶の作り方は書いてあっても、いきなりお茶っ葉からほうじ茶を作る方法は見当たらないのでいろいろ試行錯誤。洗って、蒸して、ホットプレートで炒って・・・こりゃあ大変だぁ。結局、洗って、干して、そのまま160℃のオープンで20分焼く、これで美味しいほうじ茶が出来る事が判明しました。とてもシンプル。
茶摘みからここまで、なかなかの手間ではありましたが、無農薬のほうじ茶、1年分確保です。また秋から冬にかけての寒茶のほうじ茶が楽しみです。
やさしくて、すっきりとした、まずまずのお茶に仕上がりました。
自給自足とまでは言わないまでも、少し前の人たちが当たり前にやってきたことを、ちょっとでも生活に取り入れていくことは、今の時代では逆に「贅沢」で「おいしい生活」なのかも知れないと、田舎暮らしを楽しんでおります。
(了)